リアルタイム物体検出のG空間データへの応用

ディープラーニングのリアルタイム物体検出技術をG空間データに応用した事例をご紹介します。物体検出とは画像や映像に写っている物体(オブジェクト)を検出して外接短径の座標とクラス分類を出力する技術です。まずは動画をご覧ください。魚道を遡上するアユを検出しています。リアルタイム物体検出はその名のとおり、1秒間に数十フレーム処理できるスピードが特徴です。

リアルタイム物体検出は、その検出速度を大量の航空写真の判読処理に活かせます。処理内容としては航空写真や衛星写真から物体検出技術を用いて特定の地物を抽出し、地物を包括する短径または代表点を様々な形式のG空間データとして出力します。下記は屋根に設置されたソーラーパネルの検出例です。処理スピードを活かして解像度25cm以上の航空写真から、愛知県・岐阜県・三重県を対象に検出を行い、座標変換、複数の地理空間データ形式への出力、空間データベースへの登録までの工程を、約6時間で完了します。検出処理を行った地物数は実に25万件以上になります。

地物検出からG空間データとしてデータベース化するまでのフロー

実際に検出したソーラーパネル

3県25万件におよぶデータの分布

人間で判読できるものはどんなに小さなものでも人工知能でも同様に判読・抽出できます。下記は自動車の抽出例です。広範囲においても瞬時に大量の地物を判読することができるので災害時の状況把握などに効果を発揮する技術といえます。